「ん?」


「いくら弟扱いだからってあんまり斎月のこと、殴ったり引っ叩いたり拳骨食らわせたりぶっ飛ばしたりしちゃダメだよ? 造りは女の子なんだから」


「………」
 

一気に流夜の顔色が悪くなった。


「……咲桜」


「はい?」


「いつ、あのバカとそんな話になったんだ?」


「んー? 斎月が日本に来てたときに逢いに来てくれて、そんで流夜くんの表情の話になったんだよ」


「表情?」


「うん。私は笑ったり怒ったりしてるのよく見てたからみんなの言ってることがよくわからなかったんだよ。『無表情以外見たことない』って言われてるんでしょ?」


「……それか」
 

何かを観念した様子の流夜。咲桜は続ける。


「そのことを斎月に訊いたら言ってたんだよ」