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「うう……私出入りし辛くなっただけじゃん……」
車に戻った咲桜は泣き言を言う。
所員から散々なことを言われても、流夜平然としていた。
どんだけ神経図太いんだこの旦那様は。
「いつもあんな風に賑やかだから気にする事ない」
「気にするよ! 旦那様の同僚の方だよ⁉ 在義父さんにとっての龍生さんみたいな人だよ!」
「あそこと比べんのは違うだろ。二人は学生の頃からの知り合いなんだし」
「そうかもだけど……うう……入りづらいよ……」
「大丈夫。余程のことなきゃ呼ばないから。変人の巣窟だから」
「……流夜くんもその一員だと?」
「否定はしない。自分がまともだなんて思ってないし」
「……自分で、自分のことまともだって言う人よりはマシかと思うよ」
「そうか? 俺が気にするのは咲桜の評価だけだから、まあ、よろしく?」
また、ぽんと頭に手が置かれた。
「私の評価って……あ、なら一つ言いたいことあるよ?」



