咲桜と流夜の見合いの折には片棒を担いでしまっている箏子なので大きい声では言えないし、実際咲桜の成長は流夜と出逢ってからの方が目を瞠(みは)るものでもあるし、在義と夜々子のためだけに生きることをやめられたのもあの人の所為なんだろうし――あれ? 


咲桜にはいい影響しか与えていない? 


ちょっと待ちなさい、自分。


わたくしは今、あの青年をけなすことを考えていたはず。


それがなんで褒めている。


……不安全で不安定で不完全な神宮流夜は、咲桜を成長させている? 


……在義め、そういうところ、見越していましたね?
 

まだ浮き沈みを繰り返す二人を睨んでみた。


中学生みたいな仕返しだった。
 

……お前が反対しないなら、わたくしから言うことないですが? 


……咲桜のために、職を賭して箏子に挑んで来た青年だ。


咲桜を大事にすることは必定(ひつじょう)。