笑満と遙音の賑やかな結婚式が終わって、今日はいつもより遅い時間だが、咲桜と流夜は自宅のリビングのソファでくつろいでいた。


咲桜を抱きかかえるように座るのが二人の定番だ。


来客のときも流夜はこうしようとするので、さすがにそれは咲桜が止めている。


「ねえ、流夜くん?」


「ん?」
 

身をよじって流夜を振り返った咲桜は、すぐに身体を戻した。


「なんでもない」


「俺に言えないことでも?」
 

少し不機嫌に聞こえる流夜の声。


そのまま、後ろから強く抱きすくめられる。


「言えないなら、言わせるけど?」


「言うっ、言いますっ」
 

……流夜に実力行使に出られたら、咲桜は勝ち目がないことがわかってきた。


「で?」


「えーとね……」
 

咲桜はまた身をよじって、流夜と視線を絡ませた。


「生きてるの、楽しいなあって思った」