朧咲夜ー番外篇ー【完】


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「頼、こっち」
 

遅れてやってきた頼は、いつも通りカメラを構えている。


「ごめん、まだ始まってない?」


「少し時間あるよ。るな、今日は私と一緒にいようね。お兄ちゃん、お仕事だから」


「はいっ」
 

咲桜はしゃがんで目線を合わせるように言った。
 

頼が手を繋いで来たのは、咲桜の結婚式のときに連れて来た少女、草凪るなだ。


頼は大学を終えて、一応日本へ帰国した。


るなを育てるために、しばらくは場所を日本に限定して報道記者として活動している。


るながもう少し大きくなって一緒に海外へ行けるようになれば、仕事範囲も拡大して一緒に連れて行くつもりだと言っていた。
 

るなは日系ではあるが北欧系の血も混ざっているようだ。


面差しは東洋系だが、雪のように白い肌と、色素の薄い目をしている。


髪は黒に若干茶色がかっている。


流桜子と同い年なので、今年五歳になる。


「さおおねえちゃん、えみおねえちゃんにもあえるんですか?」