朧咲夜ー番外篇ー【完】



ぶんぶん手を振っている吹雪に応えて咲桜が軽く手を振ると、ギラッとした視線を受けた。


ひうっと背筋が凍った。また両側から捕縛された。


「ちょっと咲桜! 先生以外のイケメンはなんなの⁉ 一人亡霊みたいだけど!」


「今手を振った人は男⁉ 女⁉ もう一人は魂抜けてるけど!」
 

あ、あははー……と、咲桜は元気なく引き攣った笑みを浮かべるしか出来なかった。


な、なんと言おう……。


「咲桜かわいー。流夜ってほんと、咲桜に似合うのだけは選ぶのうまいよね」
 

咲桜に抱き付こうとした吹雪を、流夜が後ろから首根っこ摑んで止めた。


「うるさい」


「えー、親友に抱き付いて何がいけないの」


「すまないな、うるさい連中ばかりで」
 

流夜が咲桜の級友たちに謝ると、様々な反応があった。


「い、いいえっ!」


「お久しぶりです、先生!」


「あ、そっか。流夜、先生だったんだっけ」
 

……吹雪がトボけたことを、真顔で言った。