「えっと、……あ、の………」
眼差しが鋭すぎて、真剣過ぎて、からかいの色なんて欠片もなくて――笑満は焦ってしまった。
冗談や誤魔化しが出来ない存在は、笑満の中では遙音だけだ。
「だから、ここまで、他のヤロー近づけちゃダメだからね?」
ここまで、と言って、笑満の両頬を捉える。心音は加速の一途だ。
恥ずかし過ぎて目を逸らしたいのに、逸らせない。
「あ、ありえない、です……遙音くんしか、無理です……」
「うん。約束」
「はい……」
ちゅっと、軽くキスされた。
離れた後の遙音は悪戯が成功した子どものような瞳で見て来るから、笑満の恥ずかしさも臨界点だった。
背中にあったクッションを取って、茹だりそうな顔を押しけた。
「どれだけすきにさせたら気が済むの……」



