「さて――咲桜と流夜くんも、今日くらいはここにいられないかな? 四人家族になるのも、今だけだし」
貴重な時間だよね。
「そうですね。お邪魔してもいいですか?」
「邪魔じゃないよ。流夜くんは私の息子なんだし。――どうせすぐに、二人で暮らし始める気でいるんだろう? 別れではないけど、卒業の日という意味も含めて、今日は家族で過ごしたいと思うんだよ」
とてとて、咲桜が今度は在義の前に廻った。
「父さん――ごめんなさい」
「うん? 今度はどうした?」
「実はその……流夜くんと結婚を許してもらうっていう、この前のときに約束した条件、まだクリアできてない」
「え? ああ……気にしなくていいよ。婿いびりのネタにするから」
「……流夜くんいじめないでください」
「どうかなあ?」



