「わたしもびっくりしましたよ。猫柳くんに君たちくらいの子どもがいるとは知りませんでしたからねえ。七十のじいさんに逢いに行ったら、子どもが出てくるんですから」


「なにすらっとぼけてるんですか。龍さんが俺ら引き取ったことくらい知っていたでしょう」


「そう言えば貴方も、猫柳くんを『祖父』と呼ぶようになったんですねえ」


「……相変わらずはぐらかしますね」


「狸ジジイの年の功です」
 

優しい顔で言ってのける、この辺りが狸だと言うに。


「貴方は優しくなりましたねえ。前はもっと、ヒトを人として見ていなかった」


「……貴方を邪険にすると在義さんに怒られますからね」
 

流夜は苦いものを噛みながら言った。


「華取くんにですか?」


「一応、貴方がいたから在義さんは警察内に留まれたらしいですから?」


「華取くんは怖いですか?」