「そこまで減った腹が持ちませーん」


「移動してる間に誰かに食べつくされたらどうすんですか!」


「どんだけだ……」
 

流夜がため息をついて、机の隣に立つ咲桜を見た。


咲桜はやはり、苦笑を返すしかない。
 

流夜と再会してすぐの頃、持たせた弁当を所員の一人に見つけられて、わけてやったら大層好評だったらしい。


流夜の方から、「時間あるときだけでいいからメシの差し入れをしてやってくれないか?」と頼まれたのだ。
 

笑満は大学生で咲桜とは時間軸が違ってしまったから休みの度に逢えるわけではない。


頼に至っては現在アメリカだ。


咲桜が休日で流夜が出勤の日は、差し入れを持ってくることが多くなった。


「はー、マジ美味い。美人さんで料理上手って、咲桜さん相当モテたでしょ?」