朧咲夜ー番外篇ー【完】



「駄目よ、在義兄さん」
 

なだめるように言ったのは、夜々子だった。龍生はほっと息を吐く。


生まれたときから在義の幼馴染なんてやってるからか、夜々子は在義にはっきりものが言える貴重な人物だ


「夜々子――」


「流夜さんをこき使うのはわたしです。わたしの咲桜ちゃん掻っ攫った覚悟があるなら、わたしのいびりくらい耐えられるはずですから」


「………」
 

在義の、幼馴染だった。


「……夜々子、お前、こいつが桃子と結婚するって知ったとき、大丈夫だったのか?」


「え? 大泣きしましたよ? ついでに家出しました」


「え」
 

龍生の知らない話だった。


「夜々ちゃん」
 

在義が咎めるような眼差しを向けるが、夜々子は、ほほっと笑んだまま続けた。