「駄目よ、在義兄さん」
なだめるように言ったのは、夜々子だった。龍生はほっと息を吐く。
生まれたときから在義の幼馴染なんてやってるからか、夜々子は在義にはっきりものが言える貴重な人物だ
「夜々子――」
「流夜さんをこき使うのはわたしです。わたしの咲桜ちゃん掻っ攫った覚悟があるなら、わたしのいびりくらい耐えられるはずですから」
「………」
在義の、幼馴染だった。
「……夜々子、お前、こいつが桃子と結婚するって知ったとき、大丈夫だったのか?」
「え? 大泣きしましたよ? ついでに家出しました」
「え」
龍生の知らない話だった。
「夜々ちゃん」
在義が咎めるような眼差しを向けるが、夜々子は、ほほっと笑んだまま続けた。



