朧咲夜ー番外篇ー【完】



「お――っと?」
 

愛子に抱き付いたのは、咲桜だった。


「咲桜ちゃん? 箏子さんが作ってくださったんですって? よく似合ってる。今日も可愛いわよ」


「マナさん……ありがとう、ございます」
 

愛子の肩のあたりに額をあてるような恰好で、咲桜は囁いた。
 

その一言で、やられた。


「さ……咲桜ちゃんそんなこと言わないでよ~嫁にやりたくなくなるわよ~」


「マナちゃん⁉」
 

仰天した吹雪が思わず大きな声を出した。


咲桜を受け止めた愛子が泣きだしたのだ。号泣という勢いだ。


「も、桃子ちゃんの代わりにって、思ってきた、のに……咲桜ちゃんに、辛い思いさせた原因、あたし、よ?」


「ううん」
 

咲桜は、そっと顔をあげた。その表情は、微笑み。


涙をボロボロこぼす愛子に微笑みかける。