朧咲夜ー番外篇ー【完】



笑満も、咲桜の隣で同じようにする。


「怖い感じになっちゃってごめんね、るなちゃん。私は神宮咲桜。頼の幼馴染で友達だよ」


「はじめまして、ね、るなちゃん。松生笑満です」


「あ……くさなぎ……るな、です……」
 

頼の手をぎゅっと握って、るなは精一杯に口を動かした。


なまりはあるが、日本語として聞き取れる。


「日本語喋れんだね」
 

笑満が頼を見上げる。


「家では日本語会話だったんだって。一応、母国語以外にも日本語は、大体喋れる」


「そっか。るなちゃん、何歳ですか?」


「えと……さん、さい……」


「三歳かあ。ちゃんと言えて偉いね」
 

笑満がよしよしと頭を撫でた。


最初はびくっとしたが、やがてるなの表情がやわらぐ。


「流桜、こっちおいで。流桜と同い年だよ」
 

咲桜が呼びかけると、龍生の腕から降りて、とてとてと小走りでやってきた。