朧咲夜ー番外篇ー【完】



「《二人目のるなちゃん》は、お前には抱えきれない。それはわかってるな?」


「わかってる。いくら報道系に入ったからって、行く先々で身寄りを亡くした子を引き取って育てるなんて、現実的に不可能だ」


「私や笑満も、自分の家族がある。るなちゃんの存在と、天秤にかけなければいけないときもあるだろう。それも承知か?」


「承知してる。咲桜と笑満には、あくまで『お母さん代わり』をしてほしい。本物の『お母さん』じゃない。るなの本当の家族になるのは、俺だけ」


「るなちゃんを引き取ったら、お前の学生生活や報道カメラマンとしての活動に、幾分制限がされる。それでもいいのか?」


「いい。今俺が一番やりたいことは、るなを育てることになった」


「―――わかった」
 

咲桜はそっと身を屈めて、るなに目線を合わせた。