「そうだねえ。宮寺くんも、今や遺伝子学の第一人者の位置だっていうのに、プライドじゃなくて、感情がゆるさないんだろうね」 憧れた。認められたい。 ただ、その名前がつく感情だけが。 「神宮はほんとに咲桜以外どうでもいいっすから、宮寺の心中思いやり、なんてしないですし」 「咲桜以外どうでもいい、ね……」 それがあの子の弱さだって、気づいてるのかな。 在義の呟きは、騒ぐ琉奏と抑える旭葵、からかう降渡と吹雪、そしてそんなことより咲桜を見ていたい流夜たちの喧騒に掻き消えた。