「すみません華取さん。泥沼なのは神宮の方でした……」
「みんな仲いいよねえ。なんだかんだ流夜くんも、宮寺くんを式に呼ぶんだし」
「否定出来ないっすね」
遙音も、苦笑がもれた。
琉奏は流夜に憧れて学問の世界に飛び込んだ奴だ。
旭葵を『友人』と言ったことが羨ましかったのだろう。
琉奏は知り合って何年経っても、『知り合い』でしかないから。
「おまけに宮寺は相棒のことは知ってるし、頼られたことないっすからね。専門家として」
流夜の弟は、最初に犯罪学者としての学位を取り、のちに法医学者にもなっている。
法医学者イコール犯罪学に携わるわけではないが、流夜が『医学』で頼るのは弟の方だった。



