そして流桜子(なおこ)が生まれ、咲桜の切望により、恥ずかしがる在義の背中を押しまくって在義と夜々子の式が挙げられ、咲桜は始終泣いて頼にヘンな顔の写真ばかり撮られて怒って――という経緯を経て、二十歳の咲桜は、結婚式を迎えることになった。


「咲桜、渡すものがあります。うちへ来なさい」


「はい?」
 

休日で、流夜と色々結婚式の準備を始めようとしていた咲桜に、箏子からいきなりお呼び出しがかかった。


この距離で電話で呼び出すとは一体?


「師匠に呼ばれたんだけど……」


「ん。一緒に行く」
 

流夜は躊躇いなくそう言い、不思議がる咲桜の手を引いて朝間家を訪れた。
 

居間に正座した箏子は、その前に咲桜と流夜を座らせた。


「遅くなりましたが、お前に嫁入り道具を調(ととの)えました」