「あの、実は私もチョコ、作ってて……その、ちゃんと渡せなかった三年分を渡したい、とか考えちゃって」


「また作ってくれたのか?」


「うん……で、デザートでもいいから、食べてもらえる?」


「勿論。むしろそれが食べたい。……悪かった、そんなに気を遣わせて」


「全然そんなんじゃないよ。私が勝手に作りたかっただけだから。今年はフォンダンショコラにしたの。今、あっためてくるね」
 

ローソファから立ち上がった咲桜だが、すぐにうおっと体制を崩した。


「まだ離れんの、だめ」
 

がっしり、背後から抱き付かれていた。