「え……奥さんがいて、子どももいるのに、ですか? それは不倫をしていたと――」


「……そうなる、んだけど……その相手っていうのがね……」


「……はい?」
 

夜々子が生まれてからいなくなった、ということは、在義も面識はあるのだろう。


「………恋人、男だったんだ………」


「……………え、――と。それは、つまり同性をすきになられる方だったという……?」


「そういうことだね」


「でも――箏子さんとご結婚、されていたんですよね?」


「うん……先生も、それが赦せなかったらしい。元は二人は友人でね。

先生は、同性愛者であったことを怒ったんじゃなくて、それを隠して自分と結婚したことが赦せなかった。

旦那さんも、隠さずに堂々と生きていれば、先生と結婚とかはしなくても、今も友人として近くにいただろうから」