「なんで誕生日にあんたとデートなのよ」


「僕が連れ出さないと、マナちゃん仕事に埋もれて何もせずに自動的にトシとっちゃうでしょ」


「……あんた本当毒舌よねー。あたしによく似すぎだわ。お兄ちゃんにあたしが怒られるんだから、性格変えなさいよ」


「僕のベースがマナちゃんなんだから仕方ないでしょ」
 

僕が言い返すと、マナちゃんは苦い顔で睨んで来た。


「で? どっか行くの? あたしに有給なんて取らせて」


「うん。行こっか」
 

僕が手を差し出すと、当然のように叩かれて終わった。


……マナちゃんと手を繋げたのは、僕だけだったのになー。
 

マナちゃんと来たのは、水族館。


仕事しかしていないマナちゃんだ。少しは自然に触れた方がいいと思う。
 

大きな水槽の前で、マナちゃんじーっと上の方を見ている。


「こういうところに来るとさ……」


「うん?」