俺に、華取を終わらせろという言葉だけを遺して逝った。
 

……意味わからんよな。いや、お前が全滅させたんじゃないか、と思ったよ。
 

それがきっかけで、俺は天龍へ向かった。


生まれて初めて、生まれた場所へ。
 

そこで猫柳翁の仕掛けた罠に引っ掛かって吊るされていたところを龍生に発見されて、猫柳の家へ連れて行かれて――龍生とはこの時が初対面だ――華取の家がどういうものだったのかを知った。
 

呪術系統の家。


主家をも傀儡としていた暗躍の一族。
 

腐敗と汚濁に見事にまみれていたね。


歴史が遺してしまった負の遺産のような家だったよ。
 

この場合の主家とは影小路(かげのこうじ)一族なのだけど、支配していた華取を兄が全滅させたために、中は結構こじれていたらしい。


鬼を愛した強すぎる当主の登場によって、今は落ち着いているようだけど。
 

天龍に行って、兄の言葉の意味を知って――なら、一つだけ出来ることがあるかな、とは思った。
 

この血を継がせないこと。