確かに結婚したはずなのだが。 流夜は胡乱に眉を寄せる。 「ん? 長年呼び続けた呼び方だから、なかなか抜けないわ。それに、勝負に勝った私に在義兄さんは意見出来ないから」 「勝負?」 二人の間で何かあったのだろうか。 「ええ。二十年越しの勝負よ」 はっきりと言う夜々子に、流夜は小さく言った。 「夜々子さんに似るのが、一番強いと思います」 あの在義に勝負を仕掛けて勝った、なんて、ほんと何ものだ。