「あ、そうだわ。今度流桜も連れて、桃ちゃんのお墓参り、行きましょうか」


「え……流桜も? 大丈夫かな……」
 

夜々子の唐突な提案に、咲桜は渋面(じゅうめん)を作った。


流桜子が大きくなれば、いずれは桃子のこと――咲桜と流桜子では、母が違うことも話さねばならないだろう。


……咲桜の父は、在義。それは共通の認識。


「大丈夫よ。咲桜ちゃんの妹で在義兄さんの娘よ? 強いに決まってるわ」
 

夜々子は胸を張って言い切る。


「……夜々子さん、未だに『在義兄さん』って呼んでるんですか?」