私が思い出せた紅音の最後の笑顔は、小学生の頃だった。昔からお母さんは、私ばっかで紅音を見ようとしなかった。

だけど、まだお父さんが居たから今よりは、紅音を育てていたと思う。

でも、お父さんがいない昼間になると、態度が一変した。

そんな日々の中あの頃の私は、紅音を笑顔にしようとか、紅音のお姉ちゃんでいよう、紅音を愛そうと必死だった。

だけど、楽しかった。

……本当は、わかってた。今の自分は、紅音を傷つけていると。でも、見て見ぬふりをした。自分の心が汚れていると認めたくなかったから。