……護ってやりたい。

紅「っ!!だから?」

響「いくら歌っても、耳塞いでる人には届かへん。でも、耳塞いでなかったら、だれにでも届く。けどな、聞いた人の心に響く歌は、誰でも歌える訳やないで。数少ない人が歌えるんや。そして、そういう人は、"歌姫"って言われるんやで。……紅音の声は、響いてきた。お前は、歌姫になれる。」

俺は、響く歌は、歌われへん。だからいっつも、何か惜しいバンド止まり。

紅「歌手か……。私だって、夢みたことあるよ。けど、そんな夢考えられないくらい必死だったんだよ!!お母さんに愛されたかったんだ。……グズッ。」

泣いてる。どうしたらええんやろ?

紅「ずっと1人が怖かった。グズッ。……でも、どうやればいいのか分からなくて、結局1人になった。どこに居ても、私は1人なんだ。そんな私の歌を誰か聴いてくれるかな?」

響「1人が嫌やったら、俺らのバンドに入らんか?」

紅「え、アンタがバンド!?」

響「何や!悪いか!?」

紅「悪くないけど、驚き過ぎて涙が止まっちゃった。」

響「なら、ええわ。で、どうする?」

紅「私なんかが入ってもいいのかな?」

響「出た、"私なんか"。俺は、紅音がいい!!誰だって紅音の歌聞いたらそう思うで!!……バンドに入ったらそれ禁句な!?」

紅「はぁ。……よろしくお願いします。」

響「おう!まぁ、今度ライブあるからそん時見に来て。終わったら紹介するから!」

紅「分かった。」

キーンコーンカーンコーン

あ、予鈴鳴った。

響「……俺まだ弁当食べてへん!!」