僕を見つめる彼女の瞳が、少し怒りを含んで、だけど、悲しそうに揺れている。

どうしたの?って、聞いてしまえば、彼女はきっと、そのわけを教えてくれるだろう。

だけど、大切な彼女の感情をくみ取ってあげることのできない自分が情けなくて、気遣ってあげることのできない自分に嫌気がさしてしまって……

僕は、どうしたら、君に見合う男のなれるのだろうか。


「……私のこと好きじゃなくなったら、そう言ってほしい。」

「え……?」

「他に好きな人ができなのなら、はっきりそう言って、フッてほしい。お願い……」

瞳を涙でいっぱいにした彼女の口から紡がれた言葉は、予想もしないものだった。


「どういうこと?僕は別れるつもりなんて……」

はっきりフッてほしいだなんて、涙ながらに懇願されるとは思わない。

だいたい、どうして別れ話なんかになるんだ。


「僕は……他に好きな人なんていないし、どうして。」

彼女の疑問しか投げかけることができない僕。

薄々、自分でもわかってはいるんだ。

僕のこういう、子どもなところが、彼女に負担をかけてしまっているって。


僕は彼女のことが好きで、大切で、これからも一緒にいたいって思っているのに……

きっと、彼女にはこの想い、伝わってなどいないのだろう。