「あんたさぁ、あの死神の事が好きなの?」


それは教室中に聞こえる声だった。


アンミはあたしを指さしている。


は……?


あたしは驚いて目を大きく見開いて晃紀を見る。


晃紀は見る見るうちに頬が赤く染まって行く。


その反応は肯定しているようなものだった。


「うわ、まじかよ……」


軽蔑したような眼差しを晃紀へ向けるアンミ。


その視線に気が付いて、晃紀の顔はサッと青ざめた。


赤から青へ。


まるで信号機のようだ。


しかし晃紀は否定しようとしない。


こんなからかいなら否定してあたしを攻撃すれば終わるはずだ。


それなのに、晃紀はそれをしようとしない。


まさか、本当にあたしの事を……?


晃紀が時々優しくしてくるのはイジメに加担しているという事実を軽くするためだと思っていた。


でも、それは的外れだったようだ。


さっきも晃紀はあたしの事を心配してくれていた。


それはアンミたちがあたしの机に落書きをしたと知っていたからからもしれない。