アンミは教室全体の空気を悪くすることが本当に得意だ。


「大丈夫?」


理央が濡らした雑巾を持ってきてくれた。


「大丈夫だよ、ありがとう」


あたしは雑巾を受け取り、机の上をふき始める。


油性マジックはやっぱりなかなか落ちにくい。


力を込めてふいていると、アンミと月乃が教室へと戻って来た。


その瞬間、教室の雰囲気はまた張りつめた物に変わる。


百花が慌てて2人の元へかけよった。


アンミはさっきよりもニヤケた顔を浮かべている。


月乃に何か入れ知恵をされた事を明白だった。


あたしは警戒して身を固くする。


今度はなに?


そう思っていると、アンミたちはそのまま晃紀の机へと向かった。


晃紀は龍輝と2人でボクシングの雑誌を広げて読んでいる所だった。


「ねぇ晃紀」


「は?」


晃紀が怪訝そうな表情を浮かべてアンミをみる。