あたしはなにが起こったのか理解できなくて、茫然としてしまってその場から動くこともできなかったんだ。


その翌日からだ、アンミたちがあたしをイジメはじめたのは。


「でも、その一回きりだろ?」


「え?」


「アンミを傷つけたのはその一回きり。それに、故意じゃなかったなら、イジメを我慢している必要だってないだろ」


晃紀の言う通りだった。


あたしは1人でバカみたいに我慢しているけれど、きっとその必要はない。


あたしは小さく笑って立ち上がった。


体中がまだ痛むけれど、吐き気は治まっていた。


「あたしは、もう我慢はしないよ」


晃紀にそう言い残して、あたしは教室へ向かって歩き始めたのだった。