「おい、起きろよ」


その声を体を揺さぶられる感覚に目を開けた。


視界が歪んで見える。


体中が痛い。


ここはどこだっけ?


目をこすってみると途端に視界がクリアになった。


あたしの目の前に立っている晃紀の姿に一瞬悲鳴を上げてしまう。


「大丈夫か、お前」


晃紀の制服からはさっきまで吸っていたタバコの香りがした。


周囲にアンミたちの姿は見えない。


上半身を起こそうとしたが、踏みつけられた体が痛くて思うように動かない。


晃紀があたしに手を伸ばしてきたので、反射的に身構えてしまった。


しかし晃紀は攻撃する気はないらしく、あたしの上半身を起こすと、校舎の壁によりかからせてくれた。


ホッと息を吐き出した瞬間、強烈な吐き気を感じてその場に嘔吐した。


何も食べていなかったはずなのに、なぜだか土が混ざった胃液が出て来た。



「全部吐け」


晃紀がそう言い、あたしの背中を少し乱暴にさすりはじめた。


その感覚に異物がせりあがって来る。


さっきよりも大量に吐いた。


ザラザラした土の感触が下の上に残っている。