「これ、喉飴」


中身を一粒取り出して女の口に入れてやる。


「ありがとう」


女が口の中で飴をころがしながらそう言った。


ううん、いいんだよ?


だってこれが最後の優しさなんだから。


あたしは心の中でそう思い、女へ向けてほほ笑んだ。


このカタログが本物であるかどうか、確認するべきだった。


理央が言っていた通り誰かを殺す道具としても使えるかどうか、やってみないとわからない。


あたしは女の隣に座ると、その顔を見つめた。


時々せき込みながらも、風邪薬のせいで朦朧しているのがわかる。


「ねぇ、学校の用事で保護者のサインがいるんだけど」


あたしはそう言い、ハガキを見せた。


女の目がハガキを見つめる。


だけどそれがなんなのか理解している様子ではなかった。


「ここに、サインしてくれる?」


そう言うと、女は寝返りをうって横向きになった。


「風邪をひいているときにごめんね」


あたしはそう言いながら女にペンを持たせた。