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3組の生徒は教室へは行かず、そのまま体育館に向かう。


他のクラスが体育の授業を行う時はグラウンドを使うようになっていた。


特別扱いの3組。


隔離された閉鎖空間では、そもそも生徒たちの精神状態は不安定だった。


どこかの空き教室を使えばよかったのに、3組の生徒が他のクラスにまで影響を及ぼすかもしれないと懸念されて体育館になったのだそうだ。


この学校内でいらない毛嫌いされている事が、全身で伝わって来た。


それでも先生たちは必死でそれをひた隠しにし、3組専用のカウンセラーまで雇ったほどだ。


それも、龍輝死が伝えられた朝は全く意味をなさなかった。


アンミをイジメていたクラスカースト上位の生徒たちだほぼ全滅してしまった事実に、女子生徒たちは泣きだし、男子生徒たちはみんな青ざめ、俯いていた。


そして昨日話をした彼女らは驚いた目をあたしへ向けていた。


「すごいね、芽衣の力」


片手に単行本を持ったグループが、休憩時間の度にあたしの机にやってきては尊敬のまなざしを向ける。


「そうかな? みんなにもある能力だと思ってた」


あたしはそう言い、優しくほほ笑んで見せた。


あたしは龍輝たちのように暴力で人の上に立ったりはしない。


それをアピールするために、決してきつい言葉も使わなかった。