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学校側がどう対処しようと変わらない。


学年で別々に登校したって、勉強をする場所を変えたって、死人は出る。


だって、あたしが殺しているんだから。


学校へ向かう間、そんな優越感に浸っていた。


あたしが殺している事に誰も気が付かない。


たとえ暴露したって、きっと誰も信用しないだろう。


あたしの隣と通り過ぎているサラリーマンや、タクシーの運転手が小さく見える。


サインさえさせることができれば、あたしは誰だって殺せるのだ。


世界はあたしを中心に回っているようにすら見える。


それがとても心地よかった。


「百花が自殺したね」


教室へ入ると、先に来ていた理央がそう声をかけて来た。


「そうだね、詳細は伝わってこなかったけど、死に方は登や涼太と同じだよ」


あたしがそう言うと、理央は頷いた。


『それでいい』


と言われている気分になり、少し腹が立つ。


『自殺カタログ』を持っているのはこのあたしだ。