「俺の家、あの辺なんだ」


晃紀がポリポリと頭をかきながらそう言った。


申し訳なさそうな表情を浮かべている。


「そう……だったんだ」


「あぁ。芽衣が毎日お願いをしに来てたことを知ってた。だけど事態はよくならない。だから、神様を含めてそういう実態のないものは信用してないと思ったんだ」


図星だった。


あたしは神様を信用しなくなった。


守護霊だっているはずがない。


だとすれば、幽霊だって存在しない。


そう思っていた。


「結果的に、願いは叶ったんだよ」


2人で並んで階段を上がりながらあたしはそう言った。


「あたしは今こうして晃紀と2人で歩いてる。そんなの、昔は想像もできなかった」


そう言うと、晃紀は照れたように頬を赤く染めた。


「……そうだよな」


「うん。だからあたしは信じてるよ。神様も、幽霊も、ね」


そう言うと、晃紀は複雑そうな表情を浮かべ、笑ったのだった。