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あたしと理央は古い洋館の中で鏡に向かってメークをしていた。


手元にはアンミの写真。


カツラとメークでできるだけアンミに似せていく。


ここの洋館は廃墟になっていたが、管理者は健在だった。


今でもこまめに洋館の掃除をしに来ていて、話をすればすぐに貸してくれるような気さくな人だった。


夏には洋館を使ってお化け屋敷を作ったりもするらしく、『友達と肝試しをしたい』と言う申し出を快
く受けてくれたのだ。


そんな事をしていたら買い手がつかなくなってしまうと思うのだが、いざとなれば自分が暮らし始めるから大丈夫なのだそうだ。


「これ、暗い場所で見ると完全にアンミだよね」


自分の姿を鏡で確認していた理央がそう言った。


パッと見るとアンミにそっくりだ。


「本当だね。あの2人、驚くだろうね」


洋館には幽霊が出るらしいと伝えておいたのだが、まさかアンミの幽霊だとは思わないだろう。


あたしと理央は泥まみれの学校の制服を着ていた。