「ねぇ芽衣」


「なに? まだ心配してくれてるの?」


「そうじゃなくてさ……」


芽衣の視線はジッと自殺カタログに向けられている。


とても真剣な表情で何かを考えているようだ。


「どうしたの理央?」


「これってさ、本物なのかなって思って」


「え? そんなわけないじゃん」


あたしは理央の言葉に笑う。


ついさっき子供騙しだと言って一緒に笑い合った所なのに、理央はどうしたんだろう?


「これが本物かどうか、確かめてみない?」


理央が顔を上げてそう言ったのだ。


「確かめるって……」


子供騙しだとわかっていても、実行するには勇気がいる。


本当に死んでしまうかもしれないという不安が、ほんの少しだけ頭をもたげてきていた。


「このカタログ、自殺志願者は直筆サインを書くって書いてあるけれど、サインさえもらえれば殺したい相手を殺せるってことじゃないかな?」


理央の言葉にあたしは一瞬言葉を失った。