自殺カタログ

晃紀の話をしたのは失敗だったようだ。


あたしはすぐに話題を変えて、お父さんが世界旅行へ行った事を伝えた。


これなら笑ってくれるだろう。


『世界旅行? すごいじゃん、そんなにお金があったんだ』


『死んだ女のお金だよ。お父さんは昔から放浪癖があって、女が死んでからそれがひどいんだ』


『へぇ……。世界旅行に行く前に、殺しておけばよかったね。そうすれば全額芽衣のものだったのに』


理央のメールをあたしは何度も読み直した。


お父さんを殺しておけばよかったという文面に目を見開く。


どんな人間も父親は父親だ。


そりゃぁ、死刑になるほどひどい父親だっているが、あたしの親は放浪癖があるだけだ。


お金の為に殺すなんて考えたこともなかった。


あたしは軽く身震いをして、理央からのメールを無視したのだった。