晃紀と一緒にいる時間はとても幸せだった。


このまま本物の彼氏彼女になれればいい。


そう思った。


晃紀はあたしがイジメられていても傍観していた時期がある。


だけど、そんな事すらどうでもよくなりつつあった。


「ただいま」


晃紀と別れて家につくと、お母さんが出迎えてくれた。


「お帰り芽衣」


その顔はいつもより少しだけ沈んでいることに気が付いた。


玄関を見ればお父さんの靴がある事に気が付いた。


いつの間にか帰ってきていたようだ。


「お父さん、いつ帰ったの?」


「つい1時間前よ」


あの女が死んでから今日までフラフラしていたくせに、こんな時に帰って来たのか。


あたしはそう思い深くため息を吐き出した。


あたしはお母さんとの二人暮らしが幸せだった。


離婚の原因になったお父さんには、正直帰ってきてもらいたくなかった。


お父さんが帰ってくればお母さんはまた出て行ってしまう。