「そう言えば月乃が来てないねぇ」


理央が、響くような声でそう言った。


声量はさほど大きくない。


それでも理央の声はみんなの耳に届いていた。


一瞬、教室内が静まり返った。


みんな昨日の事を知っているからだ。


「なにあんた、月乃に会いたいの?」


アンミが理央を睨み付けてそう言った。


「そうじゃないよ。昨日の出来事と、今日の警察を繋ぎ合わせて考えてみただけ。そして月乃は来ていない。意味、わかる?」


理央の言葉にアンミは首を傾げているが、クラスメートの大半は理解したらしい。


あのプールに月乃がいるかもしれない。


そんな雰囲気が教室内に流れ始めた。


「プールに行ってみればわかるだろ」


そう言ったのは晃紀だった。


「行ってみるって言っても、無理でしょ?」


窓の外を見てアンミはそう言った。


プール周辺は立ち入り禁止になっている。


「だったら理解しろよ」


晃紀は言う。


アンミはまだ首を傾げている。


「例えばさ……月乃の水死体が上がってるとかさ」


我慢できず、あたしはそう言った。