自殺カタログ

柔らかな肉の感触。


ローファーが肉に食い込み、肋骨にあたる感触がした。


あまり気分のいい感触ではない。


「芽衣ダメだよ」


理央があたしを静止した。


月乃のためにやめるワケじゃない、あたしが加害者になる事がダメだと言っているのだ。


「月乃はさ、写真を撮られちゃったらもう生きていけないね」


理央が月乃を支えて起こし、優しい口調でそう言った。


月乃は怯えの表情を浮かべている。


「アンミたちは月乃の写真を絶対に消さない。だって、月乃はただのイジメられっ子じゃなくて裏切者だもん。裏切られてイジメの対象になった人間は、そう簡単には許されないよね」


理央の声は心の奥底まで響いてくる。


人の行動さえ左右できてしまいそうなその声。


「……あたしは、どうすればいいの?」


月乃はもうあたしを見ていなかった。


すがるような視線を理央に向けている。


「サインをすればいいと思う」


強い風が吹き抜けて理央の言葉を遮った。


それなのに、言葉はキチンと耳に届いて来ていた。


あたしはスカートのポケットに手を入れた。