「ねぇ……あのハガキは嘘だったの?」


月乃があたしを見てそう聞いて来た。


「あぁ、あれは本物だよ?」


「じゃぁなんで……」


「あのハガキをいつ使うかなんて、あたし言ってないよ?」


その言葉に月乃は目を見開き、それから泣きそうな表情になってうずくまった。


苦しんでいるその様子がやけに癪に障った。


今まで散々あたしをイジメておいて、イジメられる側になった瞬間被害者みたいな顔をする。


その根性が気に入らない。


「あたしの写真だって撮ったじゃん」


吐き捨てるようにそう言うと、月乃は顔を上げてあたしを見た。


「あの写真は結局消したから!」


「消したらそれでチャラになったとでも思ってる?」


そう聞くと、月乃は返事を喉に詰まらせてしまった。


消したらなくなるのは写真だけだ。


心の傷は消えない。


「その根性が気に入らないんだよね!!」


あたしはそう言い、月乃のわき腹を蹴り上げた。


月乃はうめき声を上げて横倒しに倒れる。


人を蹴ったのは産れて初めての経験だった。