月乃を見て柔らかくほほ笑んで見せている。


その笑顔は背筋が凍るほど冷たかった。


「月乃、あたしがなんだって？」


そう質問しながら近づいてくる。


「な、なんでもないよ……」


そう返事をしてみても、声が小さすぎてアンミには届かなかった。


アンミは月乃のすぐ隣に立ち、「なぁに？」と、小首を傾げて聞いた。


「月乃はね、アンミと龍輝を殺すつもりだったんだよ」


青ざめている月乃を横目にあたしはアンミへ向けてそう言った。


アンミの表情から笑顔が消える。


「殺す？　あたしを？　月乃が？」


わざとらしく瞬きを繰り返してそう訊ねるアンミ。


月乃は無言のままうつむいている。


アンミを直視することすらできない状態だ。


あたしはそれを見て内心笑っていた。


苦しめ。


もっと、もっと苦しめ。


あたしを苦しめて来た分、月乃だって苦しむべきだ。