それから数十分後、教室内に月乃が登校して来ていた。


意気揚々と登校してきた月乃は、教室内にいるアンミに気が付いてハッと目を見開いた。


その視線は少しずつズラされてあたしを捕らえた。


あたしはわざとらしいくらい満面の笑顔を浮かべて月乃を見た。


月乃の表情は一瞬にしてひきつる。


そして弾かれたようにこちらへと歩いて来た。


「ちょっと、一体どういう事!?」


そう怒鳴りながらあたしの机をバンッ!と両手で叩く。


「どういう事って、なにが?」


あたしは素知らぬ顔をしてそう聞いた。


「言ってたことと違うじゃん!!」


「違うってなにが? あたしは嘘なんてついてないけど?」


「はぁ? あんたが言うからアンミたちにサインさせたのに!!」


そう怒鳴ってから、青ざめる。


今教室内にアンミたちもいるのに、大声を出してしまった事に気が付いたのだ。


月乃の口から自分の名前が出たことで、アンミがゆっくりと席を立った。