どうやら晃紀は本気であたしの事が好きらしい。


今回の一件でようやくその事に気が付いた。


龍輝の女になる事を考えれば、晃紀の女になるほうがよほどマシだ。


あたしはそう考えて、晃紀へ向けて笑顔を作った。


「助けてくれてありがとう」


「いや。それより、呼び出しとかあったなら俺に言えよな」


晃紀は煙草に火を付けながらそう言った。


一度吸い込み、紫色の煙を吐き出す。


「ありがとう、晃紀」


あたしは晃紀の手をにぎり、そう言った。


晃紀の手のぬくもりも、唇のぬくもりも素直に好きだと感じられた。


でも……。


あたしは忘れていなかった。


晃紀も最初の頃、アンミたちと同じようにあたしをイジメていたことを……。