そしてあたしと2人を見た瞬間、表情がこわばった。


「なにお前ら? 人の女囲ってなにしてんの?」


龍輝のように威圧感のある声ではないが、それでも十分こわかった。


晃紀はライターをズボンのポケットに入れると2人の前に立った。


「な、なにも……」


登がそう答えるが、この状況で『なにもない』というのは少し無理がある。


晃紀が鋭い視線を2人に向けて歩み寄る。


「なにもない? 本当にそう言いきれるか?」


そう聞きながら指の骨をバキバキと鳴らす晃紀。


「あたしに、晃紀と別れろって言ってくるの」


できるだけしおらしく、傷ついた様子を装ってそう言った。


一瞬こちらを振り向いた晃紀は、またすぐに向き直った。


「それ、本当か?」


「ち、違うんだ……!」


ブンブンと左右に首を振り、後ずさりをする登と涼太。


「なにが違うんだよ。芽衣が嘘をついてるとでも言うのかよ!」


初めて怒鳴り声を上げ、校舎の壁を蹴った。


その勢いに登がその場に尻餅をついてしまった。


「お前ら、二度と芽衣に近づくな」


晃紀が睨みをきかせてそう言うと2人は転げるように逃げて行ったのだった。