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翌日、教室へ入ると月乃がアンミたちにイジメられていた。


こんな早い時間から月乃を囲んで罵声を浴びせている。


その様子に呆れながら、知らん顔をして通り過ぎた。


今まではあたしが月乃の立場だったんだ。


朝早くから放課後までずっとイジメられていた。


傍から見たらこんなにも情けない姿だったんだと、初めて理解できた。


クラスメートたちはイジメられているあたしを無視していると感じていたけれど、実際その立場になってみると少しだけ違うこともわかる。


アンミたちの幼稚さに呆れているのだ。


高校2年生にもなって誰かをイジメないと気が済まないなんて、幼稚すぎる。


幼稚なくせにイジメの方法だけはエスカレートしていってるからたちが悪いんだ。


あたしは自分の席に座って教科書を机にしまう。


「なぁお前、ここでストリップしてみろよ」


そんな龍輝の声が聞こえて来たのはクラス内のほとんどが登校してきてからだった。


月乃が青ざめた顔で左右に首をふる。


「俺の命令が聞けねぇのかよ」


龍輝が月乃に手を伸ばす。


月乃は咄嗟に逃げようとするが、アンミに掴まってしまった。