晃紀にカタログを渡せたことでアンミがサインをする事がグッと現実味を帯びてきていた。


徐々にクラスメートたちも登校し始めて、アンミたちのグル―プもようやく教室に入って来た。


アンミたちが学校へ来るのを心待ちにしている自分がいる事にきがついて、苦笑いを浮かべた。


散々イジメられてアンミたちの顔なんて二度とみたくないのに、形勢が逆転すると早くその顔尾を拝みたいと思ってしまう。


アンミたちも今のあたしのような気持ちでイジメを行っていたのかもしれない。


そんな事を思っていると、晃紀がアンミに近づいた。


あたしは息を殺してその様子を見つめる。


大好きな服のカタログを見たアンミはうるさいほどに騒ぎ立てる。


「まじ? このカタログくれるの? 晃紀、あんたやるじゃん!」


そう言って晃紀の肩をバンバン叩いている。


馴れ馴れしいその態度はむかつくけれど、仕方がない。


あたしはグッと我慢をして様子を伺う。


カタログを開いたアンミは真剣な表情で服を選び始めた。