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今日の出来事を思い出してあたしは深く息を吐き出した。


あたしが一体何をしたと言うのだろう。


覚悟しとけよ。


アンミはそう言ったが、あたしはいつアンミたちに抵抗したというのだろう。


教室ではできるだけ目立たないようにしていたし、イジメられても声を上げることもしなかった。


黙っていればいずれ大人しくなる。


そう思っていたのに、アンミたちの行動は日に日にエスカレートしていった。


今日撮られた下着の写真を思い出すと悔しくて唇をかみしめた。


強く噛み過ぎて血の味が口一杯広がって行く。


やっぱり、死ぬときはみんなこんな気持になるんだろうな。


予め遺書を書いておいてよかった。


人の自殺願望は30分しか持たず、徐々に薄れていくと聞いたことがある。


家に帰って遺書なんか書いていたら、あっという間に30分は過ぎていただろう。


あたしは屋上から下を覗き込んだ。


ここは学校の裏手側だから誰もいない。


周囲はビルに囲まれていうけれど、今のところあたしに気が付いている住民たちはいなさそうだ。


やるなら、今だ。


今しかない。


あたしは右足を空中へと投げ出したのだった。