紫苑side


「信歩、来てないね〜?」


信歩の席に目をやる。

ポツンと空席があるのが少し寂しさを感じた。


やっぱ、昨日のがマズかったか?

信歩にとって俺ら暴走族と関わるのは
辛い事なのかも知れない。

『朱雀』で何があった…?


「アイツが街で男漁りしてやがったら
白黒ハッキリすんのにな。」


ゴンッ!


「ぃダッ!?」


黒鉄の無責任な言葉にムカついて
重いのを頭に一発くれてやった。


【それ、信歩の前で言ったら
ただじゃすまさねぇーぞ。】


言葉は目に見えない傷を作る。

…言葉は怖い。
話せないからそれが良くも悪くも分かる。