「いたくないよ! おとうさんは!? おかあさん!」
二人とも、助からなかった。
呼びかけても返事がなく、とうとう息もしなくなった。
幼い私でも、さすがにわかった。
二人は死んでしまったんだって。
私は目の前で、大好きな人を失った。
その車の運転手はすぐに捕まった。
居眠り運転だった。
そして、私はお母さんの実家に預けられることになった。
神宮寺の人間が施設の出など、恥ずかしいという理由だった。
当時の私は、そんなこと理解出来ていなかった。
だけど、お母さんたちがいなくても、お母さんが生まれ育った場所なら、きっと楽しいだろうと、思っていた。
そんな考えが覆されたのは、早かった。
私は親戚中をたらい回しにされた。
一ノ瀬竜生という不良の娘を、預かりたくない。
どこの家に行っても、そればかりだった。